心を楽にするために振り返る子育て

幾何化予想

NHKスペシャルでポアンカレ予想に関する番組の中で、幾何化予想という考え方が紹介されていました。

幾何化予想は、「コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される」という命題(WikiPediaより)ということだが、簡単に書くと

  • 空間が取り得る形は8つである

ということだろうと理解している。

その形は次の図のようなものだそうです。

(画像:NHKハイビジョン特集 「数学者はキノコ狩りの夢を見る」より)

ウィリアム・サーストンは、ポアンカレ予想を証明する過程で、この仮説を立て、

  • 宇宙空間に送り出したロープが回収できないとき、宇宙には丸くない空間が含まれ、「概ね丸い」とは言えない
  • 逆に、ロープを回収できたとき、「宇宙は概ね丸い」ということができる

と提唱したということです。


以下、私の妄想。

NHKの番組では、ポアンカレ予想が証明する過程の理論という扱いで説明しており、グリゴリー・ペレルマンの偉業も、ポアンカレ予想を証明したことだと説明されていた。

ちょっと、不思議な感じがした。

私としては、「空間取りうる形が8つある」ということが証明されたことの方が、もっともっと偉業なのではないかと思うからです。

ここで、宇宙空間に送り出すロープの材質に注目してみたいと思います。

NHKの番組では、綱引きの綱としても使えそうな太さのロープを宇宙空間に送り出し、そして、回収するイメージで紹介していました。

このロープの材質を、単原子が直線的に並ぶ極細の糸であるところを想像してみて下さい。(糸の強度は無限大で絶対に切れることはないと仮定します。)

この糸は、絶対回収することが出来ないと想像するのは、簡単なことだと思います。

例えば、回収する家庭でその糸が月の裏側に回りこんでしまったとき、人は、引っ掛かってしまいます。

月でなくても、このサイトのポアンカレ予想のところで説明したように、糸は、地上の物体にも容易に引っ掛かってしまい、自分の所まで何事もなく回収することは不可能と言っても過言ではないくらいです。

また、仮に自分の手元まで糸を回収できたとしても、その原子の糸には、酸素分子や二酸化炭素分子、もしかしたら、分子ではなくヘリウムなどの原子が引っ掛かっているかもしれません。

原子や分子は軽いので、糸に引っ掛かっても容易に手繰り寄せられてしまいますが、分子や原子が動かないと仮定したときには、糸は回収できないことになります。

これを「糸が、物体に引っ掛かっているのだから、回収できないのは、当然のことだ!」などと言ってしまうのは、せっかく証明されたポアンカレ予想や幾何化予想を無視し台無しにする思考なのではないかと思います。

一般の人々は、当然、「糸が、物体に引っ掛かっているのだから、回収できないのは当たり前だ!」と考えます。(たぶん、数学者も、そう考えるだろうと思います。)

ですが、せめて、物理学者だけは、「物体に糸が引っ掛かるとは、どういう意味なのだろう?」と、疑問を持つべきだと思うのです。

ついでに書くと、

  • ポアンカレ予想幾何化予想に置き換えること = 証明の指向性マクロからミクロに変えること」だったのではないか・・・
  • しかし、それに関わる人たちの頭だけが「マクロ的なことを考えている」という先入観から離れることができず、誰もそのことに気付いてないのではないか・・・

なんて想像をしています。


【追加 2010/11/17】

私のこの疑問は、あるBlogの右の本の紹介文を読んで、解消しました。NHKの番組の作り方の問題だったようです。(右の本は、まだ読んでいないので、その詳細はわかりませんが、多分、そんなことが書かれているのではないかと想像しています)

[引用] 訳者あとがきでは、この番組に触れていて、とかく「宇宙の形に関する予想」として取り上げられる誤解を指摘しています。 『完全なる証明』
- 歴史背景も読ませる!ポアンカレ予想 数学ノンフィクション – aki note

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